「凛(りん)!ほんっとごめん!またな!」


「はあ〜い、じゃあね〜」


気の抜けたなんとも間抜けな返事をしながら手をふる私に彼氏のアキちゃんこと彰(あきら)は忙しなく教室から出て行った。

今日は急用できたっていうから
1週間前に計画をたてていた放課後デートは中止になったのだ。


あぁ〜アキちゃん〜〜
久しぶりにあのショッピングモール行きたかったのにな。プリクラ撮りたかった。
でも、急用なら仕方ないよね。あと2週間もすればアキちゃんが観たいって言ってた映画の公開はじまるし、誘ってみよう。


放課後の予定もなくなったので机の上に置きっぱなしになっていた筆箱だけ適当に鞄へ放り込んで私も教室をでる。


「コンビニよって、なんか甘い物買おうかなぁ」


下駄箱で靴を出しながらポツリと呟く。
完全な独り言だけど。気にしない。
彼氏とデートなんだって友達に言っちゃったからみんなもう帰っちゃってるし。


ローファーに足を入れたところで携帯が着信を知らせた。


「あ、やばいやばい、マナーモード解除になって.....ん???アキちゃん??」


先程慌てて教室を出て行った彼氏からの着信だった。
なんだろうと思いでてみる。



「はーい、アキちゃん?」