ギフトがわかってからすぐの頃だった。
「何が嬉しくて、東西南北で立場を争う北宮の伝承の子を産ませねばならない」
「でも、上からのお達しですから」
東西南北の家は仲がいいとは言えない。
お互いにどちらが優位かを凌ぎ合っている。
それでも、上というと分かりづらいが魔術師が忠誠を誓う
国からのお達し、跳ね除けれるわけがないのだ。
しかし、お達しの文は北宮誉とは書かれていなかった。
最強の魔術師との婚約。
そして、時空のギフト持ちは東西南北では産まれない。
ならば、私の婿に時空のギフト持ちをあてがえば全てのことが西園寺家で収まる。
そう、父は考えたのだ。
