アネモネ

そんなことがあったからか、今日はいつにもまして積極的に話しかけてくる。お昼も一緒にどうかと誘われたが、私はいつも同じ部署の川合ほのかと食べているので、丁重にお断りした。そもそも、私は今というか、当分誰かとお付き合いするのは懲り懲りだ。だから、恋愛はおやすみさせていただきたい。


昼休憩、私はほのかと屋上のベンチでお弁当を食べていた。

「へぇ、あの後輩くんがねー。」

「ほのか、平野くんの教育係だったよね?どんな人なの?私彼と実はそんなに関わってこなかったからなー」

「何々、あんた平野くんのことちょっと気になってるの?これは時間の問題かなー」

「そんなんじゃないよ、私は彼のこと恋愛対象として見れないと思うし、恋愛は当分いらないの。ただ、どんな人なのかなーって」


「そーだなー。仕事はできるし、性格もいい。何より、あのルックス、社内の女子にモテないわけがない。でも、私の予想だと彼は一見可愛いわんこ系だが、結構ドSで束縛が激しいタイプとみた。」


そんな予想は聞いてないと思いながらも、心は昨日の告白で、彼が顔を赤くして照れていたのを思い出した。

「でも、彼告白してくれた時、顔赤くしてて、すごくうぶな感じっていうか、好青年ぽいと思ったんだけど」

「あのねぇ、好青年な男が心にあんなに積極的にガツガツいかないわよ。あれは絶対付き合ったらガラリと変わるギャップを持っているはずよ。」

うーん、そうかなと思いながら、心は卵焼きを口に入れた。