部活が終わると、中島くんが私のところにやってくる。



逃げられるけど逃げない。



中島くんがこれ以上傷つかないためにも説明をしなきゃ。



「先生いいですか」
「いいよ」


部室に入って2人で長椅子に座る。


「九条先生と付き合ってるんだ」
「うん」


「諦めたくないのに、諦めないといけない」



一言一句選びながら慎重にゆっくりと話していく中島くん。


「デートした時に告白すればよかった」
「中島くん、」


「彼氏できたのにそれでも諦めないって諦めの悪い男だと思われるのは流石に嫌だから」
「ごめんね」



本当は中島くんと付き合いたい。


好きだって言いたい。


デートの時、幸せだった。


この時間がずっと続けばいいのにって思った。


でもそれは叶わない。


そう思うと悲しい。


「なんで泣いてるの、泣きたいのは僕の方なのに」
「ご、ごめん、なんでもない」


「瑠璃」



腕を引っ張られて抱きしめられる。


「泣いてるところを見たら、放っておくわけにはいかない」


あぁ、みっともない。


感情に蓋をし続けていたら、気付かないふりをしていたらこんなことにはなってなかったのかな。


でも奏が写真を撮っていたのは事実だから、結局こうなっていたはず。


じゃどう転がっても中島くんとは付き合えない運命…



そう思うともっと悲しくなってくる。



中島くんの温かさを感じるほど涙が止まらない。