「瑠璃、説明して!」
里帆から連れてこられたのは3階の奥にある視聴覚室。
ここなら誰も来ない。
「説明って…」
「なんで九条と付き合ってんの!」
「なんでって言われても…」
「中島が好きなんじゃないの?」
「そうだけど、」
「そうならなんで九条と!?」
里帆の顔が赤くなってる。
大分理解できなくてヒートアップしているみたい。
「そう言われても…」
「誤魔化さない!」
「ここは学校だし後で…」
「今!誰も来ないから!」
「わ、分かった!」
里帆に奏が写真を撮って脅迫されたことを言った。
「ねえ、九条を今から殴りに行っていい?」
「ダメに決まってる!」
「いくらなんでも最低!」
「でも写真を撮られてなかったとしても中島くんとじゃ付き合うべきじゃないのかなって…」
怒りでどんどん顔どころか耳まで赤くなってる。
「なにそんな弱気になってるの!バレなきゃなんとかなるのに!って、もうバレちゃってるんだよね…」
「だから中島くんのことは諦め…」
「諦めないで!」
「え?」
「なんとしてでも九条とは別れないと!」
「でもそうしたら中島くんが危ない」
「中島には何も言ってないの?」
「こんなこと言える訳ないよ」
「そうだよね、でもこのままだと瑠璃が可哀想」
「中島くんのことを考えればこれが1番なんだよ」
「瑠璃さ、このまま中島が黙ってると思う?」
「どういうこと?」
「あんなに瑠璃が好きでアタックし続けた中島がこれで折れると思わないなぁ〜」
「奏と付き合ってるってなってるのに?」
「私の勘だね」
「でも中島くんには何も言わないで、中島くんのためなの、中島くんが学校を辞めるわけにはいかないの」
「瑠璃……あんたとことん教師なんだね、それか愛の力か」
「どっちもかな」
「瑠璃、今日九条の家に行くんだよね」
「そのつもり」
「行くの?」
「行くしかない、付き合ってるんだから」
「こんな交際、付き合ってると言えないでしょ………瑠璃、何かあったらすぐ電話してね」
「ありがとう」
3階の窓からグラウンドが見える。
中島くんが、友達とサッカーをしている。
姿が小さく見えるけど、遠くから見ても美形の中島くんはすぐ分かる。
本当にこのままでいいのかなぁ…
本当にこれしか中島くんを救う方法はないのか…