「中島聖弥」
「え?」
奏から中島くんの名前が出たことにびっくりする。
「好きなのか?」
「え、なんで?」
「さっきの瑠璃の様子がおかしかったし、学校で中島とキスしてたところ見た」
「えっ」
まさか見られてたとは…
「いつ?」
「2ヶ月前とかかな」
てことは学校でキスされていた時。
「なんかカップルに見えなかったから気にしなかったけど、もしかして瑠璃、中島のこと……」
「好きとかないよ」
「そうなのか?」
「言ったじゃん、好きな人いないって」
「でも生徒のこと好きだと誰にも言えないだろ」
「でも本当に好きじゃないの」
「よかった……」
ホッとした表情を浮かべる奏。
「俺、瑠璃が好き」
「………」
「奏」
「付き合ってほしい」
「それは……」
「時間がかかってもいいから、俺を男として見て」
ずっと奏から見つめられて、手を握られる。
自分で気づいている。
私は中島くんのことがどうしても気になってしまっている。
ダメだって、離れなきゃと思うほど気になる。
でも本当にこの想いがはっきりする前に捨てたい。
だから、
「分かった」
時間がかかっても奏を好きになってみようと思う。