~酒盛り~
あたし達の部屋と一樹達の部屋を仕切っている襖を取っ払って二間を繋ぐ。酒盛りの始まり。
──勢い、誰かが話し始めるという訳でも無く、ナビの示す道順通りに会話が進むと、自動的に話の行き先は海斗へと向かう。
「会ったのは久し振りだったのか?」と力也。口に運ぼうとしていた缶ビ-ルをテ-ブルに戻して、太一が煙草を咥える。
「あの事件が起こった10日位前まで俺達は家族でこの民宿に泊まってて、それが最後だったかな。その頃俺は中学一年で、その次の年には瑠花も中学生になってたしな。…うん、そう言えば家族で旅行…里帰りって言うのか良くわかんねえけど、そんなのもあん時が最後だったなあ」
あたしの横で瑠花が遠い日を懐かしむみたいに目を細めていた。太一がライタ-を擦る音が「シュッシュッ…」と、二度三度続く。不貞腐れたライタ-は言う事を聞かないみたいだった。優が太一に向けてライタ-を投げた。「サンキュ-ベイビ-」とウィンクして見せるアホ太一。
「事件から二、三日経って、母ちゃんから話は聞いたんだけど、その時にはもう海斗は退院してたし、浩司君とは顔を合わせた事はあるけど、それほど親しくなかったからなあ…」
太一の話の続きを瑠花が引き取る。
「夏美さんの話だと、それからの海斗に対する嫌がらせとか虐めみたいなのは結構酷かったみたいだよ。教科書に落書きされたり、ジャ-ジ破られたり…。夏美さんが気付いただけでそれなんだけら、気が付かない処じゃ多分もっと酷い事も…。わたし達と遊んでる海斗を見て、この五年間あんなに楽しそうに笑ってるとこ見た事無かったって夏美さん泣いてた位だから」
「あの暴走族の中にも海斗と同じ中学の奴らいるんじゃないっすか。頭来んな-!」
だんごも珍しく憤りを全面に表して興奮していた。さっき死にかけたのが効いているのかも知れない。一樹と双葉は黙って窓の外に横たわる海原に視線を据えたまま、煙を吐き出しては煙草を灰にしている。思い出したように太一が咥えていた煙草に火を点けた。刹那、太一の顔の前で20センチ以上の火柱が揚がる。「ウアチャ-ッ!!アッチ!なっ…何だこのライタ-ッ!!」
ウキャキャキャキャキャキャ!女達の笑い声と毛の焦げた匂いが部屋中に拡がっていった。ウキャ!
あたし達の部屋と一樹達の部屋を仕切っている襖を取っ払って二間を繋ぐ。酒盛りの始まり。
──勢い、誰かが話し始めるという訳でも無く、ナビの示す道順通りに会話が進むと、自動的に話の行き先は海斗へと向かう。
「会ったのは久し振りだったのか?」と力也。口に運ぼうとしていた缶ビ-ルをテ-ブルに戻して、太一が煙草を咥える。
「あの事件が起こった10日位前まで俺達は家族でこの民宿に泊まってて、それが最後だったかな。その頃俺は中学一年で、その次の年には瑠花も中学生になってたしな。…うん、そう言えば家族で旅行…里帰りって言うのか良くわかんねえけど、そんなのもあん時が最後だったなあ」
あたしの横で瑠花が遠い日を懐かしむみたいに目を細めていた。太一がライタ-を擦る音が「シュッシュッ…」と、二度三度続く。不貞腐れたライタ-は言う事を聞かないみたいだった。優が太一に向けてライタ-を投げた。「サンキュ-ベイビ-」とウィンクして見せるアホ太一。
「事件から二、三日経って、母ちゃんから話は聞いたんだけど、その時にはもう海斗は退院してたし、浩司君とは顔を合わせた事はあるけど、それほど親しくなかったからなあ…」
太一の話の続きを瑠花が引き取る。
「夏美さんの話だと、それからの海斗に対する嫌がらせとか虐めみたいなのは結構酷かったみたいだよ。教科書に落書きされたり、ジャ-ジ破られたり…。夏美さんが気付いただけでそれなんだけら、気が付かない処じゃ多分もっと酷い事も…。わたし達と遊んでる海斗を見て、この五年間あんなに楽しそうに笑ってるとこ見た事無かったって夏美さん泣いてた位だから」
「あの暴走族の中にも海斗と同じ中学の奴らいるんじゃないっすか。頭来んな-!」
だんごも珍しく憤りを全面に表して興奮していた。さっき死にかけたのが効いているのかも知れない。一樹と双葉は黙って窓の外に横たわる海原に視線を据えたまま、煙を吐き出しては煙草を灰にしている。思い出したように太一が咥えていた煙草に火を点けた。刹那、太一の顔の前で20センチ以上の火柱が揚がる。「ウアチャ-ッ!!アッチ!なっ…何だこのライタ-ッ!!」
ウキャキャキャキャキャキャ!女達の笑い声と毛の焦げた匂いが部屋中に拡がっていった。ウキャ!

