「あ、えっと……西嶋です……」
もうどうすることも出来ずに
仕方なく名前を答えると
「それでは西嶋様、こちらへどうぞ」
半ば強引に試着室へと連れてかれる……
一体なんだって言うんだーーーーー
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「市ヶ谷様、いかがでしょうか?」
店員さんのチョイスで
シックなカラーの派手すぎない
タイトワンピースに
ちょっとヒールが高めなパンプス
あの……こんなの人生で
初めて着るんですが……?
「……………………っ」
私を見つめたまま何故か
言葉を詰まらす部長
「えっと……似合わないですよね?やっぱりやめま……ーーーーーーー!?」
「いくぞ……」
あまりの沈黙に恥ずかしくなった私は
慌てて試着室に戻ろうとしたが
ぶっきらぼうに小さく呟くと
部長は私の腕を引いて歩き出す。
「請求は後ほど市ヶ谷家に」
「かしこまりました。気をつけて行ってらっしゃいませ」
私も店員さんに軽く会釈をして
店を出ると再び車に乗り込む。
気まずい……
運転席と助手席の間に
流れる沈黙に臆される
いつもはこんなんじゃないのに…
今日の部長がいつもと違いすぎて
どうしていいかわからないーーーーー。

