「……んな出会いあるわけない。少女漫画じゃないんだから……そんなことより手動かせ、手」



「いやいや、あんたもな!」



青春真っ只中の女子高生みたいな
夢見がちな発言をする七瀬に呆れ顔で
指摘すると、そっくりそのまま返された。



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しばらく無言でデータ入力に
励んでいたが、ふと同窓会の事が
頭に浮かんだ私は



「そういや、今週の金曜同窓会だっけ?」




隣の七瀬に話しかけた。



「んー、そだよ。そういや高校のときちっこくてモサいやつに告られてたよね」




「やめてよ、思い出させないで」




高校時代の黒歴史……。




イジメられてた同クラの冴えない男子を
当時、正義のヒーローぶっていた私は
カッコつけるために助けたのだ……



そこから、そいつに好かれ始め
何かと話しかけられるように
なってしまったのだ……



今となっては昔の話だし
そいつが今、どこで何をしてるか
なんて私は知らない。



というか思い出したくもないし
考えたくもない……。



「お前ら仕事中に私語炸裂とはいい度胸だな。真面目に仕事をしろ!!」




七瀬と無駄話していたら
いつの間にか鬼の形相をした
部長が立っていて……




「「すみません」」




てへっ
怒られちゃった☆




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「で、なんで私だけ残業なんだよ!クソが!」




誰もいなくなった薄暗い
社内で怒りを爆発させる



七瀬も喋ってたくせに
あのクソ上司私だけに
仕事押し付けやがって。



市ヶ谷 聖(いちがや ひじり)28歳



正直この若さで部長という役職は
尊敬するし、顔もめちゃくちゃ良いから
会社の女子にモテモテだし、、、、、



だからと言って……



「若くてイケメンだったら
何してもいいと思ってんのか!?」



1人ブツブツ文句を垂れながら
なんとか仕事を終わらせ会社を出る。