コウモリは他の2匹と比べて新参だった。
 出会った頃に魔女は死にかけだったコウモリを治してやり、抱きしめてやることで、自分の魔力をコウモリの体力に変換できるよう契約してやっていた。

 魔女は闇の力で人の姿になれるこのコウモリを、好きになった男の代わりに毎晩抱き締めて寝ていたのだ。

「コウモリ!」

「オレ、ろーぜト交ワル、楽シミ!待ッテタ!」

 帰ってきた魔女を見て嬉しそうに笑っている。

「それどころじゃないわ!この私が振られ…っもう、あなたに関係ないの!しばらく放っておいて!!」

 相手にしてもらえず落ち込むコウモリをよそに、珍しく書斎まで出向いて魔法書を片っ端から読み漁った。

「この私が振られるなんて…!!今に見てなさい…!」


 小一時間ほどで出てきた考えは、

「やっぱり、媚薬と惚れ薬しかないわ…!私の魅力だけで充分だと思っていたから、使わずに済むと思っていたのに…!!」

 そうと決まると彼女は早速材料を集め始める。

「ろーぜ、ゴハン食ベヨ〜」

「まだよっ!みんなで先に食べていてっ!」


「ろーぜ、ろーぜ、モウ夜中。俺、ズット待ッテタ!」

 懐きすり寄るコウモリを引きはがし、後ろで再びケンカを始めるヘビとカエルを別々の部屋に移動させ、魔女は材料を合わせ始めた。

「…あともう一つ…これでよし!あとは呪文よ!」

 ところが、何度唱えても完成する気配はない。