白血病と喘息、肺炎で弱くて脆い私の体。
治したいけど怖い。
健康体になるのが夢だけどもし健康体になって勇太に恨まれでもしたら精神の弱い私には耐えられない。
【宮川一花side END】
【笹川将也side】
宮川さんと一緒に仕事をして早くも1ヶ月。
一緒に仕事をしてたらわかるこの子の手際の良さ。
そして要領の良さ。
この子と一緒に仕事してるだけで今月残業してない。
定時前には絶対仕事が終わってる。
繁忙期になったら多少残業するかもしれないけどこの子となら苦にならずに仕事できそうだ。
落とそうと決めていたのにこの子とのこの関係を壊したくないってことに気づいた自分もいるし、この子の一番になりたいって思ってる自分もいる。
矛盾を抱えたまま仕事してプライベートのこの子も何も知らないまま過ごしている。
今俺の手には映画のチケット。
親からいらないからと言って渡された。
けど彼女のいない俺にとってもいらない。
「宮川さん。」
隣にいる彼女に話しかける。
背筋をピンと伸ばして姿勢良くパソコンに向かっていた彼女は仕事中掛けているメガネ越しから静かに俺の方を向いた。
「今度の日曜って予定ある?」
「…ありません」
ゆっくりと瞬きをした彼女の目はいつも死んだ魚のよう。
綺麗な目なのに輝きが一切ない。
この子は一体どんな心の傷があるんだ…
「なら一緒に映画でもどう?
親からチケット貰ってさ。」
彼女が俺の手に握られてるチケットにゆっくり目を向ける。
そして眼鏡を外して耳をトントンと叩いた。
「コレ、何かわかりますか?」
耳から外された小さな機械。
使ったことはないけど何かは知ってる。
「補聴器…?」
「そうです。なので映画は行けません。
高い音や低すぎる音、複数の音が重なってると聞こえないんです。」
淡々と話す彼女。
まるで他人事のようだ。
「誘っていただいたのにすみません。
他の方と行ってください。」
…ショックだった。
いや、誘いを断られたことじゃなくて…
1ヶ月一緒に仕事してきたのに彼女の補聴器の存在に気づかなかった自分にショックを受けた。
「え、映画じゃなくて…カフェとかどう?
俺、いい店知ってるんだ!」
我ながら必死だな。
けどどうしても彼女と休日過ごしたい。
この綺麗な子と過ごしてたら自分の汚い一面も払拭してくれそうなくらい清廉潔白だから。
「…構いませんよ。
時間も集合場所も笹川さんが決めてください。」
「わかった!
あ、決めたら連絡するから連絡先教えてもらっていい?」
「はい。」
1ヶ月一緒に仕事してきてずっと聞こうと思っていた連絡先を今やっと聞けた。
スマホを仕舞って彼女はもう一度パソコンに向かった。
それから上手く仕事できるわけがない。
数字ミスして課長の怒られて宮川さんにも手伝ってもらって書類制作して…
浮かれすぎました。はい。
そして迎えた日曜日。
治したいけど怖い。
健康体になるのが夢だけどもし健康体になって勇太に恨まれでもしたら精神の弱い私には耐えられない。
【宮川一花side END】
【笹川将也side】
宮川さんと一緒に仕事をして早くも1ヶ月。
一緒に仕事をしてたらわかるこの子の手際の良さ。
そして要領の良さ。
この子と一緒に仕事してるだけで今月残業してない。
定時前には絶対仕事が終わってる。
繁忙期になったら多少残業するかもしれないけどこの子となら苦にならずに仕事できそうだ。
落とそうと決めていたのにこの子とのこの関係を壊したくないってことに気づいた自分もいるし、この子の一番になりたいって思ってる自分もいる。
矛盾を抱えたまま仕事してプライベートのこの子も何も知らないまま過ごしている。
今俺の手には映画のチケット。
親からいらないからと言って渡された。
けど彼女のいない俺にとってもいらない。
「宮川さん。」
隣にいる彼女に話しかける。
背筋をピンと伸ばして姿勢良くパソコンに向かっていた彼女は仕事中掛けているメガネ越しから静かに俺の方を向いた。
「今度の日曜って予定ある?」
「…ありません」
ゆっくりと瞬きをした彼女の目はいつも死んだ魚のよう。
綺麗な目なのに輝きが一切ない。
この子は一体どんな心の傷があるんだ…
「なら一緒に映画でもどう?
親からチケット貰ってさ。」
彼女が俺の手に握られてるチケットにゆっくり目を向ける。
そして眼鏡を外して耳をトントンと叩いた。
「コレ、何かわかりますか?」
耳から外された小さな機械。
使ったことはないけど何かは知ってる。
「補聴器…?」
「そうです。なので映画は行けません。
高い音や低すぎる音、複数の音が重なってると聞こえないんです。」
淡々と話す彼女。
まるで他人事のようだ。
「誘っていただいたのにすみません。
他の方と行ってください。」
…ショックだった。
いや、誘いを断られたことじゃなくて…
1ヶ月一緒に仕事してきたのに彼女の補聴器の存在に気づかなかった自分にショックを受けた。
「え、映画じゃなくて…カフェとかどう?
俺、いい店知ってるんだ!」
我ながら必死だな。
けどどうしても彼女と休日過ごしたい。
この綺麗な子と過ごしてたら自分の汚い一面も払拭してくれそうなくらい清廉潔白だから。
「…構いませんよ。
時間も集合場所も笹川さんが決めてください。」
「わかった!
あ、決めたら連絡するから連絡先教えてもらっていい?」
「はい。」
1ヶ月一緒に仕事してきてずっと聞こうと思っていた連絡先を今やっと聞けた。
スマホを仕舞って彼女はもう一度パソコンに向かった。
それから上手く仕事できるわけがない。
数字ミスして課長の怒られて宮川さんにも手伝ってもらって書類制作して…
浮かれすぎました。はい。
そして迎えた日曜日。
