だからこそ、早く逃げ出したい。
「…コーヒー買ってきます。」
財布を持って笹川さんの手から自然に逃れる。
自販機に向かいながら私はさっきまで握られていた腕をぎゅっと抱きしめる。
気づきたくなかったけどやっぱり私は笹川さんのことが好きだ…
好きだけど…
私は病気の治療をしない限り短い命。
そんな私が気持ちを伝えたところで困らせるだけだろうし何よりあの時逃げてしまったのだから今更言えない。
今まで通りが一番いいんだ。
少し気まずさはあるだろうけど…
「…しんどい…」
お祭りに行った時から体がずっと重たい。
ずるずると壁に凭れながらしゃがみこむ。
体が熱を持っていて冷や汗が吹き出してくる。
頭も痛い…気持ち悪い…
でも仕事は絶対終わらせてから帰らないと…
「…どうしよう…」
また、お祭りの時みたいに手が震え出してきてしまった。
手の平を見ると赤みがなく真っ白になっていて顔から垂れてきた汗が落ちる。
「……あっ…」
立ちあがろうとした私の視界がふらつく。
そこからの記憶は一切ない。
ただ、夢を見ていた。
切なく、苦しい、目が覚めるといつも泣いている…
最愛の人、勇太の夢を。
【宮川一花side END】
【笹川将也side】
「あれ?
宮川さんどこ行った?」
部長の言葉に俺は隣の席を見る。
そこに彼女の姿は無い。
「さっきコーヒー買いに行くって言ってたけど…」
もう始業してるのに彼女が戻ってくる様子はない。
自販機は確かに離れた場所にあるけど…
いつも5分前には絶対着席している宮川さん。
そんな彼女がいないと不安になる。
「俺、探してきます。」
まだ仕事に取り掛かっていない状態だったから今なら動ける。
不安なのもあるが、彼女が隣にいるのが当たり前だったからいないと寂しい。
自販機までの道を歩きながら、なんと声をかけていいかを考える。
告白して困らせて…
誤解も解けないままでなんて居たくない。
振られてもいいから前のような関係に戻りたい。
そう思っていた俺はふと休憩室を見る。
そこに宮川さんはいた。
椅子に座っていない。
まるで意識を飛ばしたかのように床に倒れ込んでいた。
「宮川さん?!」
慌てて机と椅子をかき分けて彼女の元へ向かう。
呼吸が浅く、顔も真っ青…
慌てて彼女を抱いて立ち上がった時にギョッとした。
「…軽すぎる…」
確かに細くて華奢な子だとは思っていた。
それにしてもこんなに軽いなんて…
そんなことより今は…
彼女の細い体を抱きしめて俺は救急車を呼ぶ。
そして彼女を焦っていたからか彼女を抱きしめたまま総務課へ戻る。
「部長!」
「?!」
俺が急に扉を開けて驚いたのか、大声に驚いたのか。
わからないが部長が驚いた顔で俺を見る。
だが俺の腕にいる宮川さんを見て血相を変えてこちらに走ってきた。
「救急車は呼びました!
下まで運びます!」
俺は部長と共に会社の入り口まで走る。
「…うっ…」
意識を取り戻したのか腕の中で宮川さんが短く呻き声をあげた。
「…笹川、さん…?」
「大丈夫、これから救急車くるから!」
俺のスーツをぎゅっと握りしめる宮川さん。
「…すみません、ご迷惑かけて…」
「喋らなくていいから!」
「…コーヒー買ってきます。」
財布を持って笹川さんの手から自然に逃れる。
自販機に向かいながら私はさっきまで握られていた腕をぎゅっと抱きしめる。
気づきたくなかったけどやっぱり私は笹川さんのことが好きだ…
好きだけど…
私は病気の治療をしない限り短い命。
そんな私が気持ちを伝えたところで困らせるだけだろうし何よりあの時逃げてしまったのだから今更言えない。
今まで通りが一番いいんだ。
少し気まずさはあるだろうけど…
「…しんどい…」
お祭りに行った時から体がずっと重たい。
ずるずると壁に凭れながらしゃがみこむ。
体が熱を持っていて冷や汗が吹き出してくる。
頭も痛い…気持ち悪い…
でも仕事は絶対終わらせてから帰らないと…
「…どうしよう…」
また、お祭りの時みたいに手が震え出してきてしまった。
手の平を見ると赤みがなく真っ白になっていて顔から垂れてきた汗が落ちる。
「……あっ…」
立ちあがろうとした私の視界がふらつく。
そこからの記憶は一切ない。
ただ、夢を見ていた。
切なく、苦しい、目が覚めるといつも泣いている…
最愛の人、勇太の夢を。
【宮川一花side END】
【笹川将也side】
「あれ?
宮川さんどこ行った?」
部長の言葉に俺は隣の席を見る。
そこに彼女の姿は無い。
「さっきコーヒー買いに行くって言ってたけど…」
もう始業してるのに彼女が戻ってくる様子はない。
自販機は確かに離れた場所にあるけど…
いつも5分前には絶対着席している宮川さん。
そんな彼女がいないと不安になる。
「俺、探してきます。」
まだ仕事に取り掛かっていない状態だったから今なら動ける。
不安なのもあるが、彼女が隣にいるのが当たり前だったからいないと寂しい。
自販機までの道を歩きながら、なんと声をかけていいかを考える。
告白して困らせて…
誤解も解けないままでなんて居たくない。
振られてもいいから前のような関係に戻りたい。
そう思っていた俺はふと休憩室を見る。
そこに宮川さんはいた。
椅子に座っていない。
まるで意識を飛ばしたかのように床に倒れ込んでいた。
「宮川さん?!」
慌てて机と椅子をかき分けて彼女の元へ向かう。
呼吸が浅く、顔も真っ青…
慌てて彼女を抱いて立ち上がった時にギョッとした。
「…軽すぎる…」
確かに細くて華奢な子だとは思っていた。
それにしてもこんなに軽いなんて…
そんなことより今は…
彼女の細い体を抱きしめて俺は救急車を呼ぶ。
そして彼女を焦っていたからか彼女を抱きしめたまま総務課へ戻る。
「部長!」
「?!」
俺が急に扉を開けて驚いたのか、大声に驚いたのか。
わからないが部長が驚いた顔で俺を見る。
だが俺の腕にいる宮川さんを見て血相を変えてこちらに走ってきた。
「救急車は呼びました!
下まで運びます!」
俺は部長と共に会社の入り口まで走る。
「…うっ…」
意識を取り戻したのか腕の中で宮川さんが短く呻き声をあげた。
「…笹川、さん…?」
「大丈夫、これから救急車くるから!」
俺のスーツをぎゅっと握りしめる宮川さん。
「…すみません、ご迷惑かけて…」
「喋らなくていいから!」
