「…宮川さん…?」
恐らく声の主は笹川さんだ。
だけど今の私には答える余裕がない。
カバンをひっくり返して薬箱を探す。
ひっくり返しそのまま床に座り込んだ私に課長が駆け寄る。
「宮川さん?!
…今もしかして…」
課長には私が病気を持っていることを言ってあるからか。
すぐに理解して薬箱を手渡してくれた。
散らばった荷物から水をとる。
「…はあ…はあ…」
少し、楽になった。
…気がする。
「…笹川さん…これ…直筆でお願いします…」
私は今恐らく虚ろな顔をしているだろう。
立ち上がるのもしんどい状況だ。
だけど椎菜から預かっている以上意識を飛ばすことはできない。
ファイルを笹川さんに渡し…
私は散らばっている荷物をカバンに戻し始めた。
「…すみません課長、体調が悪いので早退させていただきます。
これ以上いると皆様に風邪を移してしまいますので…
」
「宮川さん…」
「笹川さん、そのファイル直筆で署名後、事務課の河野まで届けてください。今日中でお願いします。」
元々定時予定だったけど発作のせいで体がだるくなり急遽早退。
どうしても、行かなくてはならない場所へ行く。
勇太のところへ。
私の隣からいなくなってだいぶと経つのにまだ、私は勇太を求めている…
忘れもしないあの日。
あれは単なる事故だったけど、私のわがままで外出して発作が出て動けなくなった。
…その場所が悪かった。
車の往来は少なかったけれど、流石に道の真ん中で発作症状が出るとは恐らく誰も思わなかったであろう。
私ですら思っていた。
発作が出ても薬を飲めば落ち着いて動けるようになるって信じてた。
『…一花!危ないっ!!』
勇太の声と共に私の体は押しやられ、鈍い衝突音と急ブレーキの音。
頭の中で一瞬で理解した。
道でへたり込んだ私を勇太が突き飛ばして勇太自身が間に合わなかったって。
勇太の方を見なくても音を聞いたらわかった。
私のせいで勇太が事故に遭ってしまったんだと。
『…勇太…?』
フラフラする体。朦朧とする意識の中恐る恐る振り返ると勇太が血塗れでぐったりとしていた。
震える手ですぐに救急車と警察を呼び、車のナンバーとどんな人が運転していたかを記憶する。
そう、この事故はただの事故じゃない。
勇太が死亡した、死亡ひき逃げ事故だった。
記憶しているのをスマホの画面に入力して意識をギリギリまで保った。
けど結局私は自分の発作症状に耐えられず、意識を手放した。
次目が覚めた時には既に勇太は冷たくなっていて…
私のせいで、最愛の恋人を死なせてしまったのだ…
「ー…もう、2年なんだね…」
花束を持って私は勇太のお墓に来ていた。
会社を早退したのをいいことに勇太のところへ。
「…2年経った今でも私は…」
自分を殺したくなるくらい恨んでる。
もし私が予め薬を飲んでいれば?
もしあの時もっと一目につくような所にいたら?
もし…もし私が健康体だったなら?
勇太は今でも私の隣で笑って過ごしていたのであろうか…
「…今でも勇太のことが大好きで…前に進めない…」
恐らく声の主は笹川さんだ。
だけど今の私には答える余裕がない。
カバンをひっくり返して薬箱を探す。
ひっくり返しそのまま床に座り込んだ私に課長が駆け寄る。
「宮川さん?!
…今もしかして…」
課長には私が病気を持っていることを言ってあるからか。
すぐに理解して薬箱を手渡してくれた。
散らばった荷物から水をとる。
「…はあ…はあ…」
少し、楽になった。
…気がする。
「…笹川さん…これ…直筆でお願いします…」
私は今恐らく虚ろな顔をしているだろう。
立ち上がるのもしんどい状況だ。
だけど椎菜から預かっている以上意識を飛ばすことはできない。
ファイルを笹川さんに渡し…
私は散らばっている荷物をカバンに戻し始めた。
「…すみません課長、体調が悪いので早退させていただきます。
これ以上いると皆様に風邪を移してしまいますので…
」
「宮川さん…」
「笹川さん、そのファイル直筆で署名後、事務課の河野まで届けてください。今日中でお願いします。」
元々定時予定だったけど発作のせいで体がだるくなり急遽早退。
どうしても、行かなくてはならない場所へ行く。
勇太のところへ。
私の隣からいなくなってだいぶと経つのにまだ、私は勇太を求めている…
忘れもしないあの日。
あれは単なる事故だったけど、私のわがままで外出して発作が出て動けなくなった。
…その場所が悪かった。
車の往来は少なかったけれど、流石に道の真ん中で発作症状が出るとは恐らく誰も思わなかったであろう。
私ですら思っていた。
発作が出ても薬を飲めば落ち着いて動けるようになるって信じてた。
『…一花!危ないっ!!』
勇太の声と共に私の体は押しやられ、鈍い衝突音と急ブレーキの音。
頭の中で一瞬で理解した。
道でへたり込んだ私を勇太が突き飛ばして勇太自身が間に合わなかったって。
勇太の方を見なくても音を聞いたらわかった。
私のせいで勇太が事故に遭ってしまったんだと。
『…勇太…?』
フラフラする体。朦朧とする意識の中恐る恐る振り返ると勇太が血塗れでぐったりとしていた。
震える手ですぐに救急車と警察を呼び、車のナンバーとどんな人が運転していたかを記憶する。
そう、この事故はただの事故じゃない。
勇太が死亡した、死亡ひき逃げ事故だった。
記憶しているのをスマホの画面に入力して意識をギリギリまで保った。
けど結局私は自分の発作症状に耐えられず、意識を手放した。
次目が覚めた時には既に勇太は冷たくなっていて…
私のせいで、最愛の恋人を死なせてしまったのだ…
「ー…もう、2年なんだね…」
花束を持って私は勇太のお墓に来ていた。
会社を早退したのをいいことに勇太のところへ。
「…2年経った今でも私は…」
自分を殺したくなるくらい恨んでる。
もし私が予め薬を飲んでいれば?
もしあの時もっと一目につくような所にいたら?
もし…もし私が健康体だったなら?
勇太は今でも私の隣で笑って過ごしていたのであろうか…
「…今でも勇太のことが大好きで…前に進めない…」
