【笹川将也side】
繁忙期です。
とても忙しくてデスマーチ状態です。
「ごめん宮川さん!これもよろしく!」
「はい。」
新しい書類を手渡すとその前に渡した書類ができたのかノールックで書類を交換。
これ、今日中には終わらないなあ…
「…笹川さん、どんだけ溜めてるんですか。」
「渡されたの全部引き受けたらこうなった…」
「バカですか…そのまま進めて下さい。重要書類がないか確認してから手伝います。」
宮川さんは俺のデスクに積まれた書類を確認して重要なものがないのを確認すると半分ほど自分のデスクに持っていった。
「ごめん…」
「口動かす暇あれば手を動かしてください。
集中するんで無視しますね。」
そういうと補聴器すら外して集中モードに入った彼女。
宮川さんと一緒に出かけた時からもう1ヶ月経ってる…
あの時以降一度も遊んでない…
「笹川!」
この書類の山が見えないのか当たり前のように俺を呼び出す部長。
渋々立ち上がり部長のところへ行く。
「忙しいとこすまないが明日から新入社員入るから指導頼むぞ!」
…まじか…
今忙しくてそれどころじゃないんだけど…
「…俺っすか…わかりました…」
ため息をつきながら席へ戻る。
「…なんとなく明日から笹川さんがもっと忙しくなる事を察しました。」
「よくわかったね…その通りだよ…」
「…」
「明日から新入社員入るってさ…」
宮川さんはゆっくり書類の山を見つめ、俺のデスクにあった山を自分のところへ移動させた。
「え?」
「これは私がやるので、明日必要な書類とか揃えて下さい。
後これ以上の仕事は引き受けないようお願いします。」
俺に釘を刺すようにビシッと言うと一度飲み物を飲んでもう一度書類の山に取り掛かった。
宮川さんに仕事を任せて明日必要な書類作成に取り掛かった。
「…部長、会計の書類ってどこにありますか?」
顔を上げると隣に彼女がいなく、声のする方を見ると部長のところにいた彼女。
俺の引き受けたら仕事の中に会計のがあったようだ。
「会計?
事務の河野に聞いてみろ。多分事務にあるぞ。」
「…わかりました。ありがとうございます。」
振り返った宮川さんと目があった俺。
俺の前をスーッと通り過ぎて行き、総務課を出て行った宮川さん。
事務に行ったんだろう。
会計のことってまだ教えてないよな…
できるかな。
しっかり教えたいけど今そんな余裕ない…
ごめん、宮川さん…
自分の仕事もこなせないような頼りない俺が先輩で…