これから私はどうしたらいいのだろうか。野崎さんを好きだと自覚すると同時に野崎さんも私を好きだと知った。
 だけど、好きになってはいけない人……を好きになっちゃったら、どうしたらいいのだろう。関係ない、とも、仕方がないとも言えるのだろうか。
 
「これから、どうしたらいいのでしょうか」
嬉しいはずなのに、悲しくて、それはどうやら、野崎さんも同じなのだろう。表情は優しいだけのものではなかった。
「引き返した方が良かったんだろうね。ごめん、我慢出来なかった」
「野崎さんはいつ、結婚されるんですか?」
「いつ……? ああ、俊彦から聞いた? いつかは決まってない。いずれ、まだ相手とも会った事はないからね。だから、恋人はつくれても結婚は出来なかった。それでもいいと言われたら付き合った事はあったけどね。これが、俺の過去。これでおあいこになる?」
 
 似たような境遇だと、俊くんは言っていた。その意味がわかった。それなら、私も、似たような境遇だから。
「それでもいいので、私の恋人になってもらえませんか?」
 
期間限定でも、私はこの人の恋人になりたかった。25歳には私は、親の決めた人と結婚する。彼も、そうだ。
 
 だから、今だけ。後悔しないように、誰かと結婚するまで、私は、好きな人と恋人になりたい。