……もしかして。

「それは、その……」相手もまさか、お見合い……とか?
「うーん、そうだな。早い方がいいわけだし、そろそろ探してもいいな」
 やっぱり!
「ええ、今から心当たりを少し」
 祖父と祖母が何か言っていた。

「待って!結婚くらいは好きな人としたい!」
 そう言って、再びぐるりと家族をみまわした。祖父と祖母は見合い結婚。
父と母もそう。ああ、兄もだ。

 唯一恋愛結婚の姉!と、義兄の(みのる)くんを交互に見た。助けを求めるように。

「気持ちはわかるけれど、結婚となると少し違うかもしれないわね」
「そうだな、価値観とか、育った環境とか、そう思うと……やっぱり、親の目って冷静な分、確かだと思うよ。特に、小百合ちゃんには」
 稔くんまでもがそう言う。
 
「……そういう人がいるのか?」
 兄にそう聞かれ、さっきの就職と同じだ。恋人はおろか、好きな人すらいなかった。


「……いない。けれど、それくらい自分で探したいって憧れはある」
 自分が、好きになった人と……。

「うん、そうだな」

 “それくらい”といいながら、さっきの就職の話からの流れで、二つも私の思う通りにしたいと、単にわがままを言ってしまってるみたいになった。もちろん、そんなのは私が勝手に気まずくなっただけで、家族はどう思っているかわからないけれど、沈黙がそう言ってる気がして

「それだけ、結婚《《だけ》》でいいからさ」
 と、慌ててそう言ってしまった。