一先ず、着替えを済ませ、素っぴんな事に気付き、素っぴん見られた事に赤面し、いや、その前にパジャマ姿見られたと赤面し、脳内忙しく過ごしていたら、ドアの開く音で、慌てて眉毛だけでもと、ポーチからアイブロウペンシルを取り出した。
 
「あ、待って、待って下さい! 眉毛だけでも!」

 野崎さんは笑って、言った。
「じゃあ、テーブル組み立てても構わない? 脚をつけるだけみたいなんだけどね」
「あ、助かります」

 野崎さんはあっという間に、……私が眉をかき終わるくらいの時間で、持ってきてくれたドライバーでテーブルに脚をつけてくれて、梱包材も一まとめにしてくれていた。……ドライバーもなくてどうするつもりだったのだろう、私は。
 
「すごい、早い」
「気にしなくていいのに」
野崎さんは私の必死に書いた眉を見てそう言った。
「少しでも、です」
「ん、食事にしようか、手洗ってもいい?」
「あ、はい、洗面所はあっちで……」という前に、彼はそっちへと向かっていた。
 なぜ、ご存知なのだろうか。
 
「早速、使っていいの? このテーブル」
「あ、はい。恋人が出来たらって思って買ったんですけれど……部屋にぴったり、良かったあ」
「えーと、それなら、俺はそのローテーブルで構わないよ」
“恋人”が出来たら使うと言った私に、自分が使うのは悪いと思ったのか……
 「せっかく今日届いたのですから、すぐに使いたいです」
 私がそう言うと、彼は「じゃあ……」と、遠慮がちに買ってきてくれたものをそのテーブルに並べた。