「確かに、もうお昼近いからね。何か適当に見繕ってくるね。俺もここで食べても構わない？」
私が頷くと、野崎さんはまた、微笑んで
「じゃあ、その間に着替えておくといい。因みに、この家にドライバーは？」
　
　……ドライバー？
　
「ありません」
「じゃあ、それも用意してくるとしよう」

部屋を出て行こうとする前に
　「カード、もう少し借りておくね」
　と、私の部屋のルームキーを振ってみせた。
　
私は、ベッドで上半身を上げて座ったまま。こんな私を見て、彼は何も言わなかった。
のは、なぜ？

その前に、彼が部屋にいた。
のは、なぜ？

元々、彼とはそんなに話したことすらない、はず。今日は土曜日。会社はお休み。ここは私の家。私の家で二人で食事をする？

何でこうなった？
　
昨夜、彼に送ってもらった。随分と風の強い夜だった。

記憶はそこまで。夜中に起きた。シャワーを浴びた。その時、私は一人で家に野崎さんはいなかった。起きたら野崎さんがラウンドテーブルを受け取ってくれていて。……それは助かりました、ありがとうございます。俊くんとも連絡を取ってくれていて、それもありがとうございます。
　
問題は、なぜ彼が私の部屋のカードキーを持っているのか、と、なぜ今ここにいたのか、だ。

何でこうなった。