気づけば私は、自分の家に帰っていて、どうやら寝てしまっていたようだった。
 
 時計を確認すると……夜中、の時間だ。お風呂も入らずにうたた寝してしまうなんて。いつから寝たのかわからないけれど、まだ眠たい。ぼーっと立ち上がり、シャワーを浴びるとパジャマに着替えて、もう一度眠りについた。
 
 
──遠くの方で誰かの話す声がして、薄く目を開ける。どうやら、もう明るい時間帯のようだ。
 
 男の人と男の人が喋っている。そのやり取りから、今日が土曜日で、配送を頼んでおいたテーブルが届いたのだと悟った。誰かが寝てしまった私の代わりに受け取ってくれたのだ、と。連絡をし忘れた俊くんかな。俊くんどうやってここへ入ったのかな。
 
 ……って
 
「ええ!? 俊くん?」
  俊くんなら本当にここへ来そうではあるけれど、さすがに俊くんでも勝手に入られたら恥ずかしいというか、なんと言うか。どうやって入ったんだって!
 
「ああ、俊彦からは、さっき君のスマホに電話かかってきてたよ。宅配の事も聞いたからね。受け取っておいたけれど、まずかったかな?」
「いいえ、大丈夫です。ありがとうございます」
ごく自然にその場にいた野崎さんに逆に疑問を持つ自分の方がおかしいのか?と考えた。
 
野崎さんは、優しく微笑むと改めて言った。
「おはよう、体調は?」
「大丈夫です」
 
……ぐぅーっとお腹が鳴ったくらいで。それに野崎さんは肩を揺らした。