13番目の恋人

「万里子さんに似合わない色なんてあるでしょうか」
「……いい人ね、小百合ちゃん」

そう言って私をじっ、と数秒見つめると。

「そうね、でも小百合ちゃんもこんな淡いピンクは似合わないわね」

……やっぱり、こういうお世辞なんて使わないところが非常に万里子さんらしい。

「でも、私の方が似合わないわ。日本一似合わないのではないかしら」
真顔で言う万里子さんに吹き出して、それから、私は淡いピンクが似合わないという自覚がなかったもので……少し落ち込んだけれど。

「顔立ちがね、こんなのだから、私。パーソナルカラーと骨格診断にも行ったのだけれど、やっぱり好きな色は似合わない分類だったわ」
「じゃあ、顔まわりは似合う色にして、ボトムスにピンクを持ってきてもいいんじゃないですか? 」
「あ、ほんと、そうね。今日お買い物に行っても良かったわね」

「……」
「……」

「テーブルを見に来たのだったわね」
「はい」

「ごめんなさい、脱線してしまって」
「ふふ、いいえ」

確かに、万里子さんにピンクのイメージは一番遠いけれど、可愛いなと思ってしまった。

「私も、カラー診断いきたいなあ」
「そうね、じゃあ、すぐにスケジュールに書いて、そしてすぐに実行! 楽しいわよ」

家具のコーナーに移動しながら、万里子さんの行動力、すごいなあと思っていた。彼女はきっと、こんな人だからチャンスを掴めるのかな。と。