一人暮らしの部屋。
あとどのくらいここにいられるのかわからないけれど、適当に見繕った小さなローテーブルが一つ。お茶するくらいならそんなに気にならないのだけれど、ソファに座って食事を摂るのはなんとなくしんどかった。

そう長くはここにいないのだし、恋人が出来たら考えようなんて、小さな不快感を無視して過ごしていた。

“今を楽しむ”

そうだよね。だからこそ、私には一生縁がないと思ってた結婚前に家を出て、一人暮らしを始めることを頼んだっだった。なのに、楽しめていなかった。

俊くんの用意してくれたリストを取り出す。ここに私の将来の旦那さんがいるのかな。

企画室長の名前を除くと……12名。名前を覚えよう。週明けから、社内でも意識してコミュニケーションを取ろう。

そうだ、憧れのOLになったのだ。次は、憧れのオフィスラブ。……自然に恋をしたい。願わくば、その人と結婚出来たらなって思う。

ありがたいなと思う。俊くんがこうやって教えてくれたから、もしこの12名の誰かと恋に落ちたとしたら、誰にも反対はされないのだろう。

恋愛結婚、それって、どんなのかな。当然ながら、このリストの中に……俊くんの名前はなかった。俊くんなら、わざわざリストに載せる必要もない。それなのに、少しガッカリしてしまって、おかしくなって笑った。