13番目の魔女がかけた呪いは、お姫様に向けられた初めての試練、だったのかもしれない。
 
 誰もが待ちわびたお姫様の誕生。国一番地位の高い両親の元で、大切に大切に何ひとつ不自由なく育つはずだった。
 
 好奇心に勝てず、親の言い付けを破って塔に上った彼女の行動は初めての親への反抗。親から切り離された、自分で決めた行動。魔女が……紡いでいたのは
 
 ──糸──
 
 つむに刺されたお姫様は、魔女のかけた魔法で眠る。100年後に魔法が解ける、その日まで。
 

 魔女が、魔法にかけなければ出会えなかった。そんな運命の糸を100年後に紡いでいたのかもしれない。
 
 間違いなく13番目の魔女は運命のキーパーソンだった。それは……私にとっても。
 王子様は、目が覚めたお姫様に言う。お姫様が着ているアンティークなドレスを見て
「素敵なお召し物ですね」
 
 お城中に薔薇の花びらが舞う。お城中の人にお祝いされて、幸せになったのだろう。好奇心旺盛な彼女のことだから、きっと。
 
 これから、王子さまが色んなことを教えてくれるのだろう。
 
 
 王様とお妃様がこの結婚に大喜びで、城中の人が大喜びで、町中の人が祝福する。
 
「ほら、最後のページ、見てよ。みんな幸せそうにお祝いしてるでしょう?」
 姉にそう言われて、そのページを端々まで見た。大広間で踊る呑気な二人に苛立ちを覚えていた。
 
 だけど、どうだろう。王様もお妃様も、城で働く人達も、それはそれは嬉しそうに笑っていた。
 
 「本当だ……」
 
 そこにいる人の心からの笑顔を見て、お姫様は幸せになりました。
 
 最後はこの言葉。私の物語も、きっとこう書かれるのかな。
 
 
 ──めでたし、めでたし