ガッチャーンと何かが割れる大きな音がして、駆けつけると、ぐちゃぐちゃになった俺のプラモデル。それから、ちいさな体をもっと小さくして震える妹。血の気が引く。
「小百合、怪我は!?」
 慌てて妹を抱き上げるとあちこちチェックした。
 
「ごめんなさい、お兄ちゃん」
「いや、こんなとこに置いた俺が悪い」
 
 小百合の手の届かない所に置いてるつもりだった。いつの間にか、ここ届くようになったんだな。怪我が無くてよかった。小百合に怪我させたなんてことなら、俺めっちゃ怒られるじゃん。
 
 びっくりしてふぇぐふぇぐなってる妹。痛い思いを、させなくて良かったと、頭を撫でた。
 
 ───
 俺は末っ子だから、弟か妹が欲しかった。そしたら、俺が色々教えてやるんだ。
 
 妹が産まれるって聞いた時は飛び上がって喜んだ。
 
 妹は想像のそれはそれは1000倍可愛かった。ちっちゃい!いい匂い!俺は夢中に、なって、この小さな妹を悪人たちから守ると決めた!
 
 ────
 
 きゅるんとした、潤んだ目、ぎこちない動き。舌足らずないい間違い。俺の後をずっとついてくる。「おにいちゃん」なんて言って。
 
 妹、可愛い。えええええ、こんな可愛いのか。
 可愛い可愛い可愛い。
 
 だから、つい、同級生に自慢してしまった。
 
「妹、可愛い」と。