13番目の恋人

「アンテナショップ的な役割をしてくれればいいと思ったんだけど……」
 
 経営管理部からの数字を見ながらそう言った。
 
 “&”の売り上げは驚くほど良かった。

「相乗効果ですかね、CSが高いようで」
「場所もいいしな。ファサードも目を引くし、立ち寄りやすい」
「イートインの客単価が高いですね。逆にテイクアウトは……」
「一つだけっていう客、だろ? 多いのは」
「その通りです」
「マーケティングに使えるな。客層、売れ筋、データ取って」
 
 予想通りの部分もあれば、意外なところもあって、それもまた経営の面白いところだ。ここまで、非常に早かった。行動力の慶一郎と行動力の万里子さんとの掛け合いは非常におもしろく、思い出しても笑ってしまう。あっという間にオープンまでこぎ着けた。
 
 うちの会社は創業してすぐはパーラーというイートインもしていたらしいが、いつしかテイクアウトのみになった。再びカフェ展開することは、祖父の代からの夢でもあったらしい。
 
 俺も貢献出来て、嬉しく思っていた。
 やがて上に立つ身としては、俊彦や慶一郎の存在はとてもいい刺激になった。それと、守るべきものが出来たことは、俺の気持ちを奮い立たせてくれた。