──半個室になった部屋で大宮くんと向き合って座っていた。比較的仕事が早く終わった日の事だった。
 
「俺の方の話、先するわ。付き合ってるなら、知ってるかもしれないけど、やっぱ野崎さん、うちの会社にいるの年内いっぱいだって」
「うん、そうなんだろうなって思ってた」
「てことは、本人から聞いてないのか。つか、会えてないって感じか。何せ、忙しいし、そのうち話があるかもね。付き合ってんなら、会社戻ろうがそんな関係もないもんな」
 相変わらず大宮くんは自分で結論まで話してくれる。

「……うん、そうなのかな」
「ん? 何、晴れて恋人になれたってのに、浮かない顔だな。寂しいわけ?」

「大宮くんはさ、彼女いたことある?」
「……そりゃ、まあ。あ、人数とか言わないぞ俺は」
まだ言われるもので、苦笑いする。
 
「その彼女と付き合っている時ってさ、その先を考えたりしてた? それとも、その時楽しければいいって感じ?」

私の質問に大宮くんは少し怪訝な顔して
「何それ」と、小さく溢した。
 
「野崎さんが、どんなつもりで香坂さんと付き合ってるのか、知りたいわけ?」
私は慌てて首を横に振った。どんなつもりで付き合っているかは、知っていたし、最初からそんな約束だった。