「……蔵之進さん。ご迷惑かと存じますが……
どうか、よろしくおねがいします。」
お紅は座り直して膝を整え、寝転がったままの蔵之進に
ふかぶかと頭を下げました。
お紅が恥ずかしさで頭を上げられないでいると、
不機嫌そうな声が降ってきました。
「おう迷惑よ。迷惑も迷惑、迷惑千万の大迷惑だ。」
「こうなりゃ、とことん引っ被ってやるまでよ。
だから、なんだ、楽にしろぃ。」
ぶすっとした返事でしたが、お紅を責めているわけではないのは分かります。
その不器用さが、お紅にはどこか可愛らしいものに感じられました。
この話の続きは、またいずれの時に。
