「たしかに父さんの会社を継ぐことが俺の夢であり、継いだ暁にはさらに大きくしたいと思っていた。でもそのためには俺自身が幸せでなければ意味がない。星奈より大切なものなどあるわけがないだろ?」

 本当にそうなのかな? でも私も妊娠したとわかった時は頭が真っ白になったけど、実際にお腹の中で生きているふたりを写真で見て、気持ちは一瞬にして固まったよね。
 夢よりも親子の縁よりも、双子のことを選んだ。それは優星君との間に授かった命だからだ。

「お願いだから、もっと俺に愛されていると自覚を持ってくれ」

 苦しげに言った彼は優しく私を抱き寄せた。

「星奈を失ったら俺は生きていけないと思う。それほど大切な存在なんだ」

 どんな愛の言葉よりも心に深く伝わってくる。私は彼に愛されているのだと。

 抱きしめられていると彼の胸の鼓動が速いのがわかり、もう優星君の気持ちを疑う余地はなかった。

 ずっと気持ちは繋がっていたんだ、だから約束通り迎えに来てくれたんだね。それなのに私は……。

「ごめんなさい」

 そう呟いた瞬間、彼の身体がビクッと反応したものだから勘違いさせたのかと思い、慌てて口を開いた。