双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました

「離れている間になにがあったんだ? なにか理由があって俺との連絡を断ち、ひとりでふたりを出産したんだろ?」

 お願いだから聞かせてほしい。なぜ俺には妊娠のことを告げず、逃げるように去っていったのかを。
 ジッと星奈を見つめて答えを待つ。

「なにもないよ。ただ、優星君と一緒に過ごす未来が見えなくなっただけ」

「俺のことが嫌いになった?」

 間髪を容れずに聞けば、星奈は俺から目を逸らして俯いた。

「そうだよ」

 肯定する言葉に胸が痛む。でも、そうだよと言われても素直に信じることなどできない。

「俺の目を見てちゃんと言ってくれ」

 あれが星奈の本心だと信じたくない。本当だと言うなら俺を見てもう一度言ってほしい。過ごした年月は短いが、星奈が嘘を言っているのかどうなのかくらい見破れる。

「星奈、俺を見て」

 一向に顔を上げない星奈に痺れを切らして言うと、彼女はゆっくりと俺を見た。その表情は苦しそうで、今にも泣きそうなのを必死にこらえている。

「優星君のことを好きじゃなくなったから、スマホを変えて妊娠したことを言わずにひとりで産んだの」