双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました

「座ってて。今、珈琲を淹れるから」

 いつも食事をしているらしき場所は六畳ほどの和室。真ん中にテーブルがあって、他にテレビとおもちゃ箱、それと壁には大きなコルクボードがあった。

 そこには三人の仲睦まじい写真が所狭しと飾られている。この中に自分が映っていないことが悲しくなるほどに幸せそうだ。
 まじまじと写真を眺めていると、台所からは珈琲の芳しい香りが漂ってきた。そして少しして星奈はカップをふたつ手に持って戻ってきた。

「どうぞ」

「ありがとう」

 カップを置かれた場所に腰を下ろすと、星奈も俺と向き合うかたちで座る。さっそく珈琲を一口飲んだ俺は懐かしくて頬が緩んだ。

「やっぱり星奈が淹れてくれた珈琲が一番うまいな」

 素直に思ったことを口にすれば、星奈は照れくさそうに笑った。

「ありがとう。安い珈琲豆だけど、ブレントの配合や淹れ方によってだいぶ味が変わるんだよ。優星君は酸味の強い珈琲が好きだったよね」

「あぁ」

 そんなことを覚えてくれていたのかと思うと嬉しくてたまらない。そして嫌でも期待してしまう。星奈も変わらず俺と同じ気持ちでいてくれていると。