双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました

「それを聞いて安心しました。親友として星奈には幸せになってほしいんです。どうか星奈のこと、よろしくお願いします。あの子が理由をつけて香坂さんを遠ざけたとしても、どうか離さないでください」

 深々と頭を下げて懇願する飯塚さんに、動揺してしまう。

 彼女がそう言うには、やはり星奈はなにか理由があって俺から離れたということだ。もう二度と星奈の行方がわからず、不安な思いをしたくない。
 彼女もまだ俺を好いてくれているならなおさらだ。

「はい、なにがあっても離しません。そして絶対に星奈と双子のことを幸せにします」

 力強く答えると飯塚さんはホッとした顔を見せた。
 最後に星奈が世話になっているという叔父の牧場の名前と住所を告げ、飯塚さんは帰っていった。

 彼女が帰っても俺は動けずにいた。連絡先が書かれたメモをジッと見つめ、星奈のことを想う。

 本当はこのまま駅へと向かい、星奈に会いに栃木まで行きたい。でも三日後にはまたイギリスに戻らなくてはならない。
 だめだ、焦るな。焦ってまた離れていかれたら困る。

 小さく息を吐き、これからのことを考えた。