双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました

 ホッと胸を撫で下ろした俺に、飯塚さんは言いにくそうに続ける。

「星奈にはきつく口止めされましたけど、同じ子を持つ親として、父親に会うことができないなんて、あまりに子供がかわいそうだから言います」

「えっ……子供?」

 忙しなく心臓が動き出す。
 子供ってどういうことだ? それに父親に会うことができないって……。

「星奈は今、二歳になる双子と叔父さんの家で幸せに暮らしています」

 二歳になる双子? それは間違いなく俺との間にできた子供のはず。年齢的に考えてもそうだ。
 しかしなぜ俺に妊娠したことを話してくれなかったんだ? ひとりで産んだりした?

 そんな俺の気持ちを感じ取ったのか、飯塚さんは顔をしかめた。

「どうか星奈を責めないでください。……星奈は香坂さんのことを思って親と縁を切ってまでひとりで産んで育てると決めたんですから」

「親との縁を切った? それに俺を思ってとは、どういうことですか?」

「それは……」

 そこまで言いかけて飯塚さんは言葉を詰まらせた。

「お願いです、教えてください」

 星奈がどうしてご両親と母娘の縁を切ってまで、ひとりで出産して育てると決めたのか知りたい。