双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました

 星奈の名前を出すと、彼女は反応を示す。それを見てなにか知っていると確信を持った俺は続けた。

「この二年間、ずっと星奈の行方を捜してきました。そしてやっと飯塚さんにたどり着いたんです。お願いします、なにか知っているのなら教えてくれませんか?」

 しかし彼女は俺と目を合わせることなく、固く口を閉じたまま。そんな飯塚さんに向かって頭を下げた。

「俺にとって星奈は唯一無二の大切な存在なんです。星奈のいない人生など考えられません。お願いします、星奈が無事かどうかだけでも教えてください」

 なによりもまず先にそれが知りたい。星奈は元気なんだよな? まさか病気になったから俺から離れたわけではないよな?

 ずっと抱いていた不安に襲われながら答えを待つこと数十秒、飯塚さんは小さく息を吐いた。

「香坂さん、顔を上げてください。……星奈のこと、話しますから」

「本当ですか?」

 勢いよく顔を上げた俺に飯塚さんは頷いた。

「まず星奈は元気です。……今は栃木県で牧場を経営している叔父の家で暮らしています」

「栃木、ですか」

 星奈は今、栃木にいるのか。