双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました

 ホテルのラウンジで待っていると、飯塚さんは気まずそうにやって来た。彼女のことは憶えている。よくカフェで星奈と楽しそうに話していたから。

 きっと彼女なら星奈の行方を知っているはず。期待に胸が膨らむ中、俺は立ち上がって丁寧に対応をした。

「来てくださり、ありがとうございます。どうぞおかけください」

「……はい」

 警戒されているのがヒシヒシと伝わってくる。それともなにか俺に隠さなくてはいけないことがあるから、こんなにも警戒心を露わにされているのだろうか。

 疑心暗鬼しながらも先に座った彼女に続いて椅子に腰かけた。

「どうぞお好きなものを注文してください」

「じゃあアイスコーヒーをお願いします」

 俺が渡したメニュー表を手に取ることなく言うと、飯塚さんは目を伏せた。

「わかりました」

 注文を取りにきた店員にアイスコーヒーをふたつ注文すると、すぐに運ばれてきた。

「どうぞごゆっくりお過ごしください」

 店員が去っていき、はやる気持ちを抑えながら俺はさっそく本題に入った。

「本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。……お電話でもお話したとおり、星奈のことでお聞きしたいことがあります」