「ねぇ、ママ。パパはいつくるの?」

「えっ?」

 返答に困ることを聞かれ、目を瞬かせる。

「せいともはやくあいたい。パパ、もうくる?」

「えっと、それは、ね……」

 ふたりは私の布団に潜り込んできて、期待に満ちた目を向けてきた。

「いつ?」

「うーん……ママもわからないから今度、パパに聞いておくね」

 苦し紛れに言えば、ふたりは「ぜったいだよー」「ゆびきりげんまんね」と念を押してきた。

「たのしみだねー」

「せなはねー、ぱぱにだっこしてもらう」

「せいともー!」

 無邪気にパパに会ってからのことを話しているふたりを見ると、本当に胸が痛くてたまらなくなる。

 いつまでこうやってごまかせるのかな。最初から期待を持たせることは言わず、パパはいないと伝えるべきだったのかも。

 正しいと思ったことでも、やっぱり間違いだったのかと不安になる。子育ては常に堂々巡りだ。

「ほら、ふたりともそろそろ寝ないと明日起きられなくなるよ?」

「たいへん! ねよう、せいと」

「うん、そうだね」

 自分たちの布団には戻らずに、私にぴったりとくっ付いてきたふたりが愛おしい。