そう、だよね。世の中には子供がほしくても授かれない夫婦がたくさんいる。私は幸運にもふたつの命を授かることができた。

　愛し合っている者同士なら、これがどれほど嬉しいことか。……きっと優星君なら喜んでくれたに違いない。
　私たちは別れることなく交際を続けていて、そこで妊娠を告げたときの彼の姿を想像しただけで泣きそうになる。

　小さく息を吐いて心配するふたりを安心させるように笑顔を取り繕った。

「すみません、ご心配をおかけして。きっと優星君なら子供がいることを知ったら喜んでくれると思います」

「だったら……！」

「だから余計に言えないんです」

　佳代さんの言葉を遮り言った自分の声は震えていた。

「優星君は喜んで、そして責任を感じると思うんです。それが私には怖いんです。私たちの存在が優星君の幸せの邪魔になるから」

「星奈ちゃん……」

　そろそろ彼がイギリスから帰ってくる頃だ。そうなればきっと、婚約者との結婚が待っているのだろう。