双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました

「だけど母さんが……な」

 気まずそうに言葉を切った彼が、なにを言いたいのかすぐに理解した。お父さんとは違い、お母さんは反対しているのだろう。

 それは聞かなくてもわかる。尾上さんがうちに宣戦布告しに来たのがなによりの証拠。

「大丈夫、父さんも協力してくれると言っているし、母さんもわかってくれるさ。だからそんな顔をするな」

「……うん」

 仕事で忙しいのに私たちのために尽力してくれている。これ以上彼の負担を増やすわけにはいかないよね。

 尾上さんがうちに来たことはまだ話さないでおこう。まずは彼のご両親と向き合うのが先だ。それから尾上さんのことを聞けばいい。
 彼のお母さんが認めてくれたら、お母さんから尾上さんとの婚約を解消してくれるかもしれない。だったら私から波風を立てるべきじゃないよね。

 次の日の朝、泣いて引き留める双子に後ろ髪をひかれながら、優星君は沖縄へと向かった。

「星斗、星七。ほらママと一緒に滑り台やろうよ」

「せいとはパパとやりたい」

「せなも」

 日曜日の昼下がり。自宅に庭で遊ぼうと思い庭に出たものの、ふたりは乗り気じゃない様子。優星君が出張に行ってからずっとこんな感じだ。

 すっかりパパっ子になっちゃって。