双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました

「ごちそうさま」

「どういたしまして。あ、珈琲でも飲む?」

 席を立とうとしたところ、彼に止められた。

「大丈夫。それより話があるんだ」

「えっ」

 なんだろう、話って。いつになく深刻な顔をしている。もしかして尾上さんになにか言われたの?
 緊張が増す中、優星君は言いにくそうに切り出した。

「実は仕事でトラブルがあって、明日から沖縄に行かなくちゃいけなくなったんだ」

 それって出張ってことだよね?
 尾上さんの話だとばかり思っていたから、拍子抜けしてしまう。

「おそらく帰ってこられるのは週明けになると思う。……ごめん、週末星奈たちと過ごせなくて」

「ううん、仕事だもの。気にしないで」

 しかし優星君の表情は晴れない。

「本当に悪い。数日間ひとりで子育てを任せてしまって」

「なに言ってるの? 一般家庭のお父さんは、なかなかここまで協力してくれないよ。いつもすごく感謝している。だから気にせずに仕事頑張ってきて」

「星奈……」

 私の父も家庭的で家族との時間を大切にしてくれる人だったけれど、優星君ほどではなかった。
 こんなにも妻を気遣い、子供との時間を多く過ごしてくれる旦那様はなかなかいないよ。