双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました

「パパ、あっち!」

「わかったよ。悪い、星奈。星七とカートを頼む」

 彼に声をかけられて我に返り、急いで星七をカートに乗せてふたりの後を追った。

「ちょっと待って優星君」

「ん? どうした」

「どうしたじゃないよ」

 足を止めて欲しいおもちゃを物色する星斗や、カートに入っているおもちゃに気をとられている星七には聞こえないように声を潜めた。

「全部買うなんてとんでもない。ひとつでいいから」

 こんな贅沢に幼い頃から慣れたら大変だ。

「一回こんなに買ってあげちゃったら、また欲しいってなるでしょ? それに物を大切にできる子になってほしいの」

 そこそこ裕福な家庭に育ったけれど、両親は決して私を甘やかすことはなかった。欲しい物があっても、本当に必要な物やずっと大切にできる物しか買ってくれなかったもの。

 それだけじゃない、世界には三食食べられない人だっているし、教育を受けられない人だっていることなど、様々なことを教えてくれた。

 もう直接お礼を言うことはできなくなってしまったけど、一般常識や教養を与えてくれたこと、自分の道は自分で決める自由を与えてくれたことには深く感謝している。

 そんな両親のように私もふたりを育てていきたいと思っていた。