双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました

「おいで」

 ひとりずつベッドから降ろして、そっと寝室を後にした。
 洗面所で顔を洗わせて双子が好きなDVDをかけ、私は急いで朝食の準備に取りかかる。

 出かける用意もしないといけないし、今日はパンにしちゃおう。たしかヨーグルトがあったからそれを出して、あと冷凍しておいた温野菜で十分だよね。

 パンをオーブンで焼いている間にヨーグルトをお皿に出して、その上に作り置きのブルーベリージャムをかける。
 昨夜の残りのスープを温めていると、優星君が階段を駆け下りる音が聞こえてきた。

「ごめん、寝坊した」

 慌ててリビングに駆け込んできた彼は開口一番に謝り、キッチンにやって来た。

「朝食の準備も手伝わなくてごめん」

「え、全然だよ。それよりもまだ出かけるまで時間あるし、もう少し寝ていたら?」

 少しでも休んでほしくて言ったものの、彼は首を横に振る。

「大丈夫。あ、パンが焼けたな」

 優星君は食器棚から皿を取って手伝い始めた。

「言っただろ? 四人でたくさんの時間を過ごそうって。一日の始まりから一緒に過ごさなければ意味がないよ」

 そうだよね、朝の何気ない日常も大切な時間だ。