「月斗さんの歌は、いつも私を救って前向きにさせてくれるんです。おかげで悲しみが吹き飛びました!」

そう言う琴葉ちゃんが愛おしくて、キスを落としたくなる。その気持ちを堪えるため、俺は琴葉ちゃんの小さな手を握った。

「はぐれるといけないから……」

「はい」

豪華な入り口の門を入れば、そこはまるで王宮の中のような豪華絢爛な世界。一日だけの宝石の王国だ。

「まず何に乗りたい?」

宙が訊ね、話し合ってコーヒーカップから乗ることになった。



琴葉ちゃんはずっと俺の隣で笑ってくれていた。その笑顔を見ていると、過去のことなんてどうでもよくて、ただ琴葉ちゃんを隣で支えたくなる。これから起こる悲しいこと、辛いことを一緒に乗り越えたい。そんな風に思ってしまう。

笑っている俺たちは何も知らない。一枚の写真がTwitterに上げられてしまったと言うことを……。

「家族に捨てられ、地味ないじめられっ子があの歌い手ルーンたちとデート!!」

つきのうさぎさんのその投稿で、俺の恋はどんどん動かされていくことになる。