弁当を食べ終わり、

真城はずっと黙ったままだったので

「兄って言ったのまずかった?」

そう聞くと真城は少し驚いた顔をして

「違う!」

と言ったのでとりあえず

兄と言うのは平気なようだ。

「じゃあなんで困った顔してんの?」

そう聞くと

「なんでもない・・・」

そう言うので質問を変えてみる。

「なんで同級生に敬語なの?」

そう聞いた瞬間、

真城の顔が強ばったのを

俺は見逃さなかった。

真城は黙ったままなので

俺は続けて

「いじめ?」

そう聞くと

「いじめではない・・・」

そう言った。

「教えてよ」

そう言うと真城は嫌そうな顔をした。

「お兄ちゃんだし?」

なんて笑って言うと

真城は諦めたようで話し始めた。

「元々コミュ障で

なかなかクラスに

馴染めなかったんだけど

その時に兄が亡くなったから

更に喋れなくなって、

上手く話せない状態が続いて、

気が付いたら誰の輪にも

入れてなかっただけ。

でも本が好きだからちょうどいい。」

なんとなく想像はしていた。

真城が誰かといる所なんて

まともに見たこともなかった。

すると真城は付け加えたように

「もう迎えには来ないでね」

そんな事を言うから

「嫌だね」
そう言うと嫌な顔をされたので

理由を聞くと

「自分が人気なの自覚ある?」

そんなことを言われた。