俺の前世は暗殺者。かなり前の時代に生まれたらしい。相手は、いや、ここからは名前をつけるとしよう。名前は、波瑠。波瑠の前世は親の借金を肩代わりした、女の人。なんとなくでも、辛い人生を歩んだことが分かる。ちなみに前世の記憶は、脳内で時々流れてくる映像。いわば走馬灯のようなものが流れてくる時に、なんとなく前世なんだなと分かった。「冷徹の暗殺者」裏ではそう呼ばれていたらしい。どこか考えが鋭く、冷たい考え、そんな人だったようだ。そんな俺は、依頼を受けた帰りに、波瑠と出逢う。男の人数人に捕まり、強姦されそうになっている所を見ると、何故か、体が勝手に動き波瑠を助けていた。冷徹。そう言われてたのに、女性を前にするとそれも出来なかったのか、ただ、情が先走ったのか。男の人数人から、波瑠を無理矢理引き離し、波瑠の手を掴み影に隠れた。夜だったのが、よかった。それにあの時代、多分100年以上は前。街灯も少なく、隠れる場所はすぐに見つかった。俺の肩に頭を置き、泣いている声を抑えている波瑠の事を見ると、自然と頭を撫でてしまっていた。「もう大丈夫だから、安心して」出来るだけ優しく声を掛けるが、男性が怖いのか、体をビクッとさせ更に強く肩に頭を置いた。体感だが、その時間は約10分は続いたと思う。その後、辺りが静かになると、とりあえず自分の家に波瑠を呼んだ。案外すんなりと来てくれて、表情は感覚で安心できる人と思ったのか、おっとりとしていた。
「可愛らしい」
そんな言葉が似合う人だなと思った。