「あっ、ごめん。 ずっと引っ張ったまま歩いてしまって、 つい夢中になって……」 松尾はハッとしたように手を離し。 私の方に振り向いた。 見える、はっきりと。 松尾の顔が。 だから。 見えている、松尾も。 私の顔。 そう思うと。 恥ずかしい、ものすごく。 逸らしたい、一秒でも早く。 松尾の顔から。 それなのに。 そう思えば思うほど。 逸らすことができない。 まるで見えない力に引き寄せられているみたいに。