神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

 みっともなく着地して、足を捻ってしまう。いち早く駆け付けたいのに、足が痛くてうまく歩けない。それでも、必死に手を伸ばして、籠から零れ落ちた薬葉に手を伸ばす。
「何をしている」
 冒険者に腕をつかまれ止められた。
「ポーションを作るわ!薬葉があれば、ポーションが作れる!ポーションを飲ませれば」
「ポーションを作るだと?今から?どれだけ時間がかかると思っているんだ。そんな時間はない。さぁ、馬車に戻って、町に知らせよう。家族も、死に目には会えるかもしれない」
 死に目。
 ……。なんで、なんで、まだ、生きてるのに。
「さ、先に、皆さんは先に行ってください。もう、町までは歩いて行ける距離ですよね?私、あとは歩いて行きます」
 私の言葉に、どうする?と、皆が顔を見合わせている。
「後で町に人たちも死体を回収しに来るでしょうから、その時に一緒に町に連れて行ってもらえばいいんじゃないか?」
「そうですね」
 馬車がガタゴトと動き出した。
「待っていて、今、ポーションを」
 痛む足を引きずりながら薬葉に手を伸ばす。
 リュックの中から、手動ミキサーを取り出し、葉を入れていく。
「あ、薬葉だけではだめだ。呼び水になるポーションが1本ないと……」
 どうする、まずすりつぶして水分を出すか、それとも水でもなんでも使うか。
 と、動きが止まった私の目の前に1本のポーションが差し出された。
「え?いいの?」
 驚いて見上げると、フードで顔が見えなかった女性が立っていた。
「馬鹿じゃないの。こんな奴らのために怪我までして」
 パサリとフードが落ちると、女性の顔が見えた。
「ダ、ダーナ、どうして、ダーナがここに?
「あんたのせいで、店をクビになった」
 え?
「私のせ……い?」
 ダーナの目には涙が浮かんでいる。
 いつものように、憎しみのこもった目とは違う。
「そうだ、リョウナ、お前のせいで、男たちを引き入れたと店を追い出された」
 それは、私のせいなの?
「あははは、借金もチャラだ、もう店に縛られる必要はない……」
 え?
 あーっと、それはクビになってむしろラッキーだった?

「その代わり、罪人として街を追放された。だけれど、もう、借金はない……」
 ボロボロとダーナの目から涙がこぼれ落ちる。