初級ポーションでも抗生物質のような効果はあるんだ。何かに感染して……そう、破傷風は防げるはず。
出血が止まれば出血多量でなくなることはないはず。
「残念だが……」
冒険者風の男が首を横に振る。
「ポーションを無駄に使うことはできない」
無駄って何。無駄って。
「ねぇ、助かりそうな人だけ馬車に乗せて町に連れていくことはできないの?あの人たち、今から行く町の人たちでしょう?」
商人の妻の言葉に夫が頷いた。
よかった。助けようと思ってくれる人がいて。
「そうだな、見殺しにしたと思われては、商売にかかわる。ちょっと、助かりそうな人がいないかだけ見てくれないか」
商売のため?
ひどいという気持ちが沸いた。
ああ、でも、違う。溺れている人を助けるために川に飛び込んで自分が溺れてしまっては元も子もないのだ。
助けられないのに、助ける力がないのに助けようとすることもまた、人に迷惑をかける。助けたいっていう気持ちだけじゃだめだ。
私がポーションを持っていればよかったんだ。自分が助けられないくせに、人に助けてと頼んで、思うように助けてもらえないからってそれを非難するなんておかしい。
私が、ポーションを持っていれば……。
あ。
馬車が止まった。
「せめて森の中から出してやろう。そうすれば、町の人も何もしなかったとは言わないだろう」
冒険者風の男が二人、森の中に入り、バラバラに倒れていた人たちを道へと順に運んできた。
ひどい状態だ。喉元がかみ切られているけれど、ヒューヒューと息をしている。腕がちぎれているけれど、まだ瞼がひくひくと動いている。
■
「生きてるっ」
まだ、生きてるっ!
並べられたのは7人の成人した男性と女性だ。
「収穫籠が落ちてた。町の人間で間違いないだろう」
冒険者の男が、おおきな背負い籠を持って森から出てきた。
「残念だが、町に連れて行っても助かりそうな人はいないだろう……」
嘘だ。嘘だ。嘘だ。
ぽんと乱暴に冒険者風の男が投げた背負い籠がぱたりと倒れて、中の薬葉が道に散らばった。
ほかに何も考えることなんてできなくて、自分の運動能力とか、それから他の人たちの目とか。
馬車の荷台から気が付けば飛び降りていた。
「薬葉だ、薬葉」
出血が止まれば出血多量でなくなることはないはず。
「残念だが……」
冒険者風の男が首を横に振る。
「ポーションを無駄に使うことはできない」
無駄って何。無駄って。
「ねぇ、助かりそうな人だけ馬車に乗せて町に連れていくことはできないの?あの人たち、今から行く町の人たちでしょう?」
商人の妻の言葉に夫が頷いた。
よかった。助けようと思ってくれる人がいて。
「そうだな、見殺しにしたと思われては、商売にかかわる。ちょっと、助かりそうな人がいないかだけ見てくれないか」
商売のため?
ひどいという気持ちが沸いた。
ああ、でも、違う。溺れている人を助けるために川に飛び込んで自分が溺れてしまっては元も子もないのだ。
助けられないのに、助ける力がないのに助けようとすることもまた、人に迷惑をかける。助けたいっていう気持ちだけじゃだめだ。
私がポーションを持っていればよかったんだ。自分が助けられないくせに、人に助けてと頼んで、思うように助けてもらえないからってそれを非難するなんておかしい。
私が、ポーションを持っていれば……。
あ。
馬車が止まった。
「せめて森の中から出してやろう。そうすれば、町の人も何もしなかったとは言わないだろう」
冒険者風の男が二人、森の中に入り、バラバラに倒れていた人たちを道へと順に運んできた。
ひどい状態だ。喉元がかみ切られているけれど、ヒューヒューと息をしている。腕がちぎれているけれど、まだ瞼がひくひくと動いている。
■
「生きてるっ」
まだ、生きてるっ!
並べられたのは7人の成人した男性と女性だ。
「収穫籠が落ちてた。町の人間で間違いないだろう」
冒険者の男が、おおきな背負い籠を持って森から出てきた。
「残念だが、町に連れて行っても助かりそうな人はいないだろう……」
嘘だ。嘘だ。嘘だ。
ぽんと乱暴に冒険者風の男が投げた背負い籠がぱたりと倒れて、中の薬葉が道に散らばった。
ほかに何も考えることなんてできなくて、自分の運動能力とか、それから他の人たちの目とか。
馬車の荷台から気が付けば飛び降りていた。
「薬葉だ、薬葉」


