神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

「働いて返すよ、装備も売ればいくらかにはなる、だから、このままじゃ、あいつは……頼む!最上級ポーションを買って飲ませてやらなきゃ、あいつは……」
 ギルドの中のやり取りが聞こえてくる。
 ポーションを買うお金がないから借金をしようとしているんだ。
 仲間思いなんだ。……でも、借金しなくちゃポーションが買えないって、どんだけ貧乏?いや、私が作っているような銅貨10枚で買えるようなポーションじゃないものが欲しいのか。いくらするんだろう?
 いや、こんなところで交渉する前に、まずは安物でいいから飲ませてあげようよ。それくらいのお金もないなんてことはないよね?
「あ……俺、助かったのか?」
 意識がはっきりしていなかった血まみれの男性がぱっちりと目を開いてあたりをきょろきょろとし始めた。
 ほっ。呼吸も落ち着いている。
「え?いや、どういうことだ?」
 支えていた男の人が、私の手に持つポーション瓶を取り上げた。中にはまだ数センチポーションが残っている。
「この色、純度100%でもないよな?」
 ああ、足踏み式で作ったやつだったかな、それ。色が薄い方だ。薄い色だけれど、純度100%ですよ。
 ん?そういえば、ディールが純度100%のやつは効果が高いみたいなこと言っていたけれど、入手困難なの?だから飲ませなていなかった?
 血まみれだった男性が、支えなしで片足で立った。
 ……ごめんなさい。私の持っているものじゃ、これが限界だよね。聖女のなんとかとかだと、その足も何とかなるのかな?
 ポーションの瓶を持つ男が、指先に中身を少しつけてぺろりと舐めた。
「痛みが引いた」
「おい、傷も消えてるぞ」
 もう一人支えていた男のが、顔の傷があった場所を指さして指摘する。

 すごく驚いた顔をしているけれど、今まで純度100%のポーションを使ったことがないのかな?
 首をかしげると、隣の建物、聖騎士詰所の入り口に、私を突き飛ばした聖騎士が立っているのが見えた。
 こちらを見ている。なんか、すごい形相だ。
 ああ、そうか。
 そうだよね。やっぱり、ポーション回収されちゃうよね。そりゃ、横領した品をそのまま犯罪者に渡しておくわけないよね。
 聖騎士詰所に向かって歩き出す。と、聖騎士が駆け寄ってきた。
「今のポーションはどこで盗んだ」
 は?
「盗んだものじゃないです」