どうしようもなく苛立ち焦った。


冗談じゃない、そんな理由で千桜が他の男に心を許すなんて耐えられるわけない。


千桜は誰にも渡さない。


絶対に渡したくない。


そんなことをグルグル頭の中で考えていた矢先に千桜が部屋に入ってきて、いつも通り俺を男として全然警戒しない態度をとり……。


そしたらカッーと頭に血がのぼり、あんなことになってしまった。


あとさき考えずにやってしまったけれど、仕方がないと思った。


俺は兄である以上、いつまでたってもスタートラインにすら立てない。


突然あらわれた他の男に千桜の心をさらわれてしまったら取り返しがつかない。


そんなことになるくらいなら、もう手加減しない。


手加減している暇なんて、俺には1秒もないんだ。


強引だったけど、結果的に少しは意識させられたような気がしていた。