これ以上すすんだらきっと後戻り出来なくなってしまいそうで怖いよ。


「誰にも渡さない。チーは俺の大切な女の子だから」


彼の切なそうに揺れる瞳に、苦しげなその声に、私はどうしていいのかわからなくなってしまう。


「……っ」


身体中熱くてかすかに震える。


翔くんお願い、早く私を手離して。


だって私から離れるなんて出来そうにない。


そのくらい、心地よくて頭が変になっちゃってるの。


ずっとこのままでいたい、そんな風に思っちゃいけないのに。


我を忘れてその背中に腕を伸ばしてしまいたくなる。


そんなことばかり考えてしまう。


こんなことイケナイことなのに、兄妹だから駄目なのに。


それから、どうやって彼から逃れて自分の部屋に戻ってきたのか全然思い出せなかった。