オチを話す前から面白い話だなんて言ってハードルをあげちゃう私は、たいして話上手じゃないのかも。


彼は笑いが止まらなくなってしまった私の背中を優しく撫でてくれた。


「チー楽しそうだね」


「うん、西原くんて意外に面白いんだよ。見た目はあんなにイケメンなのにギャップがあって」


「西原くんはチーの前の席の子?」


「うんそうだよ」


「へえ、西原くんってイケメンなんだな……そうか」


だけど、ちょっと声のトーンが低くておやって思った。


彼の顔をまじまじと見たら、口を結んでこわばった表情をしている。


どうしよう、この話題ってあんまり面白くなかったかな。


私は西原くんに毎日会うからどんなキャラクターか知っているけど、兄は最近私のお願い通りにあまり1年の教室には来なくなっていた。


だから当然西原くんのことを知らない。