兄をそういう目で見ることはダメなこと、イケナイこと、いやらしいこと。


もしも……。


私がそんな感情を持ってしまったら兄に嫌われてしまうかもしれない。


両親を悲しませるかもしれない。


もう家族みんなで笑えなくなるかもしれないんだから。


もしかしたら、これまで通り翔くんと一緒にいられなくなるかもしれない。


『兄妹は結ばれない運命だからね』


幼い頃に父に言われた言葉が心の奥底にいつのまにかしっかりと根付いている。


だから怖くなるの。


『家族がバラバラになってしまうよ』


それだけは絶対に嫌だ。


だって、彼がそばにいない日常なんて想像すらできないんだもん。


心の中の一番大切な場所に彼がいて、いつも明るい光で私を照らしてくれる。


大切で大好きな私のお兄ちゃん。


これからもずっとずっと一緒にいてくれる人。